「友だちより下手」と落ち込む子へ|比べる気持ちとの付き合い方
こんにちは、ぷでぃまです!
友だちと比べて落ち込むお子さんについて、先に結論をお伝えします。比べる気持ちは、やめさせようとしなくて大丈夫です。効くのは比べる相手を置きかえてあげることです。
「〇〇くんのほうが速いから、もう走りたくない」と言うんです。比べなくていいよ、と伝えても効きません…
よくいただくご相談です。そして「比べないで」という言葉が届かないのは、お子さんがわがままだからではありません。
現場で見ていて思うのは、比べているから落ち込んでいるとは限らない、ということです。比べた結果を、自分の価値だと受け取ってしまう。そこが苦しいところです。
この記事では、落ち込みの中身を分けたうえで、家でできる関わり方を順にお話しします。
この記事で分かること
- 比べる気持ちをなくそうとしなくていい理由
- 落ち込みの正体は順位ではないという話
- 比べる相手を「先週の自分」に置きかえる方法
- 声かけを「他の子」ではなく「変わったところ」に向けるコツ
- 気持ちの落ち込みが長引くときに見てほしいこと
比べる気持ちは、なくそうとしなくて大丈夫

まず、前提をひとつ変えておきたいです。友だちと自分を見比べられるようになったのは、まわりが見えるようになったからです。
小さいころは自分の順番のことしか頭にありません。学年が上がるにつれて、誰が速いか、誰ができるかが見えるようになります。
ですので「比べないで」は、実は難しい注文です。目に入るものを見ないようにしてね、とお願いしているのに近いからです。
- 見えること … 止められない。成長の一部です
- 比べること … 自然に起こる。止めなくていい
- 自分を下げること … ここだけは、いっしょに手を入れられる
大人が手を出す場所は3つめだけで足ります。前の2つを叱ってしまうと、お子さんは落ち込んだことまで隠すようになります。
きょうだいの間で差が気になるときの関わり方は、兄弟で運動の得意・不得意に差があるとき|比べない関わり方にまとめました。家の中の比較にも同じ考え方が使えます。
落ち込んでいるのは、順位ではないことが多い

ここは分けて見てほしいところです。「下手だから嫌」と言うお子さんに、本当につらい場面を聞いていくと、タイムの話ではないことがよくあります。
出てくるのは、こういう場面です。
- 列の最後になって、みんなに待たれている時間
- できない動きを、順番に一人ずつやらされる場面
- 友だちに「え、そんなこともできないの」と言われたひとこと
つまり、数字ではなく見られている感じがつらいのです。実際、一人で練習しているときは平気なのに、人が集まると急に動きが小さくなるお子さんは毎年います。
「何位だった?」より「今日はどの時間がいやだった?」のほうが、話が進みます。つらい場面が分かれば、そこだけ手当てできます。
上手・下手の話に付き合いすぎないでください。場面の話に降りると、打てる手が見えてきます。
比べる相手を「先週の自分」に置きかえる

ここが今日の中心です。比べるのをやめさせる代わりに、比べる相手を差し替えます。
やり方は単純で、記録を残すだけです。ただし、タイムや順位だけを残すと、また他の子と並べたくなります。残すのはできるようになった形にしてください。
- 回数 … 「なわとび、続けて跳べたのは12回」
- 形 … 「ひざを曲げずに前に手が届いた」
- 場面 … 「今日は自分から列の前のほうに並べた」
紙に3行書くだけで十分です。1週間分たまると、お子さん自身が「先週より」の目線を持てるようになります。
大事なのは、うまくいかなかった日も残すことです。良い日だけを書いていると、書けない日が「失敗した日」になってしまいます。
先週は10回だったから、ちょっと増えてる
この言い方が出てきたら、比べる相手が入れ替わったサインです。友だちの背中を見ていた目が、自分の記録に戻っています。
ひとつだけ注意です。焦って練習量を一気に増やさないでください。追いつこうとして急に走り込むと、ふくらはぎやすねを痛めやすくなります。痛みが出たらその日はやめて、翌日以降も続くときは整形外科に相談してください。
声かけは「他の子」ではなく「変わったところ」へ

励ますつもりで、比較を使ってしまうことがあります。これは向きが逆になりやすい声かけです。
- ❌「〇〇くんより上手になってるよ」… 比べる枠を強めてしまう
- ❌「あの子を見てごらん、あんなふうにやるんだよ」… 見本ではなく相手として見えます
- ⭕「先週より、はじめの一歩が早くなったね」… 相手が自分になります
上の2つは、うまくいっている場面では効きます。ただ、落ち込んでいるお子さんには、比べられたこと自体が残ります。
具体的に言うのがコツです。「がんばったね」だけだと、何が変わったのか本人に伝わりません。動きの名前を入れて、変わった箇所だけを言う。それで十分です。
逆効果になりやすい言い方をまとめて知りたい方は、良かれと思って逆効果|運動が苦手な子への「声かけNG集」も参考にしてください。
「これは好き」を1つ持っておく

最後に、いちばん長く効くことをお伝えします。運動の中に、勝ち負けと関係なく好きなものを1つ残しておくことです。
速さで比べられる種目ばかりだと、比較から逃げ場がありません。順位が出にくい動きを1つ持っていると、そこが支えになります。
- 家族で行く自転車や散歩
- 鉄棒や登り棒のような、できた・できないが自分で分かる動き
- ボールを蹴る、投げるなど、遊びとして続けられるもの
「運動が嫌い」になるのは、体を動かすことが嫌いになったからではなく、比べられる場面が続いたからというお子さんが多いです。好きな動きが1つ残っていれば、また戻ってこられます。
そして、今の差がそのまま続くわけではありません。伸びる時期には個人差があり、あとから追いつく子もいます。その話はゴールデンエイジを過ぎても運動は伸びるに詳しく書きました。
なお、落ち込みが長く続くときは、運動の話だけで抱えないでください。眠れない、食べられない、学校に行きたがらないといった様子が続くなら、学校の先生やかかりつけの先生に早めに相談してください。
今日できる一歩は、紙を1枚用意して、今日できたことを3行書くことです。相手が変わると、同じ練習でも見え方が変わります 🌱