全力で走るのが恥ずかしい子へ|本気を出せない気持ちのほどき方
こんにちは、ぷでぃまです!
全力で走るのが恥ずかしいお子さんについて、先に結論をお伝えします。隠したいのは走る姿ではなく、本気を出したのに遅かった、という結果のほうです。
走るときだけ、途中でわざとふざけるんです。本気を出せばもっと走れるはずなのに、笑ってごまかしてしまって…。
運動会の練習が始まると、このご相談がぐっと増えます。前の日まで普通に走っていた子が、順位のつく場面になると急に力を抜きます。
現場で見ていると、この子たちはやる気が無いわけではありません。むしろ、まわりの目をよく見ている子ほど、こうなります。
そして厄介なことに、手を抜いた姿は大人からは「ふざけている」ようにしか見えません。ここで叱ると、いちばん見せたくないものを暴きにいくことになります。
この記事では、その気持ちのほどき方を、運動会当日までの順にお話しします。
この記事で分かること
- 手を抜くのは、負けた理由を先に用意しているからだという話
- 本気を出せない子が、走る前後に見せるサイン
- 言わないほうがいい一言と、代わりに使える言葉
- 「見られても平気」な場面を、小さくつくる方法
- 運動会当日、走る前と走ったあとの数十秒でできること
手を抜いているのではなく、負けた理由を先に用意している

わざと力を抜いて走る子は、走る前からひとつの準備をしています。うまくいかなかったときの説明を、自分で用意しているのです。
全力で走って最下位だと、その結果がそのまま自分の実力になります。でも、ふざけて走って最下位なら、まだ本気を出していないことにできます。
- 逃げ道をつくっている … 「本気出してないから」と言える状態にしておく
- 先に自分で下げている … 期待されるほど、あとがつらくなると知っている
- 笑いに変えている … 遅いことを笑われる前に、自分から笑わせにいく
つまり、力を抜くという行動は、その子なりの守り方になっています。ここを「なまけている」と読み違えると、対応がまるごとずれます。
ふざけているのではなく、守っています。守る必要が減れば、力を抜く理由のほうが先に消えます。
似た形で「どうせできない」が口ぐせになる子もいます。言葉に出るか、動きに出るかの違いです。「どうせできない」が口ぐせの子へ|言葉の裏にある気持ちも、あわせて読んでみてください。
走る前後に出やすい、5つのサイン

このタイプの子は、走っている最中よりも、その前後に分かりやすい様子が出ます。
次のような場面が思い当たれば、能力の問題ではなく気持ちのほうが働いていると考えてみてください。
- スタート前にふざけ始める … 並んだ瞬間から、友だちにちょっかいを出す
- 走り終わるとすぐ言い訳を言う … 「靴がゆるかった」「おなかが痛かった」
- 順位を聞かれるのを嫌がる … 何番だったかを言いたがらない
- 練習では速い … 誰も見ていない場面のほうが、動きが素直
- タイムを測ると急に遅くなる … 測られる場面だけ、動きが固くなる
べつに、速くなりたいわけじゃないし。
この言葉が出たとき、そこを訂正しにいかないでください。「そっか」で止めておくほうが、あとの会話が続きます。
とくに見ておきたいのは、4つめと5つめです。見られていない場面で動けているなら、体はもう動きます。足りていないのは走力ではありません。
言わないほうがいい一言と、代わりの言葉

ここが今日の中心です。良かれと思って出やすい言葉が、いちばん刺さってしまいます。
避けたいのは、次の3つです。どれも「本気を出せていない」と本人に突きつける形になっています。
- 「本気出せばできるのに」 … 出したのに届かない可能性を、いちばん怖がっています
- 「ちゃんとやりなさい」 … ふざけている、と決めつけた言い方になります
- 「みんな見てるよ」 … 見られることが理由なので、そのまま重くなります
代わりに使えるのは、結果ではなく行動をひとつだけ指す言葉です。「最後まで走り切ろう」「ゴールの線まで走ろう」で十分伝わります。
順位に触れない代わりに、やることを1つだけ渡します。行動なら、本人が終わったあとに自分で確認できます。
もうひとつ、走り終わったあとの第一声も先に決めておいてください。感想も助言も、聞かれたときだけで構いません。
「見られても平気」な場面を、小さくつくる

四つめは、家でできることです。急に人前で全力を出させるのではなく、見られる人数を減らしたところから始めます。
順番としては、こう考えると組み立てやすいです。
- ひとりで走る … 公園や河川敷で、家族だけがいる場所を選ぶ
- 相手を変える … 同級生ではなく、親御さんやきょうだいと走る
- 記録を本人だけのものにする … タイムを測るなら、伝えるのは本人にだけ
大事なのは、全力を出す場面と、人に見られる場面を、一度切り離しておくことです。両方を同時に求めると、どちらも中途半端になります。
安全の話をひとつだけ。全力で走らせる前には、歩く・軽く走る・その場でスキップといった準備運動を数分入れてください。運動会前は練習量が増えている時期なので、いきなりの全力ダッシュは脚に残ります。だるさや痛みを言うときは、その日は走らせないでください。
体を動かすこと自体がつらいわけではないのに、人前の場面だけ苦手になるという点では、ダンスのつまずきとよく似ています。運動会のダンス・表現が苦手な子へ|リズムに乗れない理由も、同じ考え方で読めます。
運動会当日、走る前と走ったあとの数十秒

最後に、本番の話です。当日にできることは多くありませんが、効く場面は決まっています。
走る前は、順位の話をしないでください。この時点で足せるものはもうありません。声をかけるなら、行動をひとつだけにします。
- 走る前 … 「最後まで走ろうね」だけ伝えて、あとは離れる
- 走ったあと … 順位ではなく、走り切ったことに触れる
- 帰り道 … こちらから振り返りを始めない
走り終えた直後は、本人がいちばん結果を分かっています。そこへ講評を足す必要はありません。「おつかれさま」で十分です。
今日はちょっとだけ、ちゃんと走ってみた。
この一言が出たら、それが今年の成果です。速くなったかどうかより、力を出しても平気だったという経験のほうが、来年まで残ります。
当日の体調も見ておいてください。頭が痛い、気持ちが悪い、汗が出ていないといった様子があれば、日陰に入って涼ませ、水分をとらせてください。回復しないときは、無理に次の競技へ戻さないでください。
今日できる一歩は、走り終わったあとの第一声を、ひとつだけ決めておくことです。全力を出すことが怖くなくなるのは、出したあとに何も起きなかった日からです 🌱