「運動神経は遺伝で決まる」って本当?運動が苦手な親御さんへ、コーチの答え
こんにちは、ぷでぃまです!
「私が運動音痴だから、この子も足が遅いのかも……」
保護者の方から、こんな声をよくいただきます。わが子の運動を、まるで自分のせいのように感じてしまう。その気持ちは、とてもよく分かります。
結論からお伝えします。運動神経は、遺伝の影響がゼロではありません。でも、それと同じくらい、環境や経験の影響も大きいと考えられています。だから「親が運動音痴だから、この子もダメ」と決めつけてしまうのは、少しもったいないのです。
この記事では、遺伝と環境をめぐる研究の話と、私が現場で見てきた「あとから伸びた子」の共通点をお話しします。読み終える頃には、心配より先に「今日、何をしてあげようかな」と思えるはずです。
「親に似て遅い」は本当か——遺伝と環境の話

まず、正直にお伝えします。運動能力に遺伝が関係しているのは、事実のようです。
厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」では、双子を対象にした研究をもとに、持久力の指標である最大酸素摂取量の遺伝率は約56%、筋力に関連する要素は約52%と紹介されています(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「身体能力と遺伝(遺伝子多型)」)。
数字だけ見ると「やっぱり遺伝か」と感じるかもしれません。でも、ここで大切なのは残りの約半分です。遺伝率が5割前後ということは、裏を返せば、残りは日々の運動習慣や経験など、後天的な要因が関わっているということ。つまり、同じような体質でも、日々の運動習慣や経験しだいで、力の伸び方は変わり得るのです。
つまり、遺伝は「スタート地点」を少し左右するかもしれません。けれど、そこからどれだけ伸びるかは、その後の関わり方しだい。私は現場で、そう実感してきました。
運動神経は「経験の量」で育ちやすい

そもそも「運動神経がいい」とは、どういう状態でしょうか。ざっくり言えば、見た動きを体で再現できる力です。この力は生まれつき固定されたものではなく、いろいろな動きを経験するほど育ちやすいと考えられています。
特に、神経回路が大きく発達するとされる幼児期から小学生の時期は、動きの引き出しを増やす絶好のタイミングです。走る、跳ぶ、投げる、転がる、ぶら下がる。こうした多様な動きを経験した子ほど、新しいスポーツにも対応しやすくなる傾向があります。
この「運動が伸びやすい時期」について詳しくは、こちらの記事でまとめています。
【子どもの成長】ゴールデンエイジを最適に過ごすためのトレーニングガイド!考え方解説
ここで覚えておいてほしいのは、たった一つ。運動神経は、才能というより経験の積み重ねで育つ部分が大きい、ということです。
現場で見てきた「あとから伸びた子」の共通点

指導歴は16年以上(2026年時点)になりました。その間、「入ってきた頃はいちばん遅かったのに、気づけば真ん中より前にいる」。そんな子を、私は何人も見てきました。
あとから伸びた子には、いくつか共通点があります。
- たくさん動く機会があった:習い事に限らず、公園遊びや鬼ごっこなど、日常でよく体を動かしていた
- 失敗しても責められなかった:「また転んだ」ではなく「今の惜しかったね」と声をかけられていた
- 勝ち負けより楽しさが先にあった:運動そのものを「嫌なもの」だと感じていなかった
逆に、もともと素質がありそうな子でも、「できない自分」を強く意識してしまうと、そこで足が止まりがちです。運動が得意になるかどうかは、体の作りだけでなく「気持ち」も大きく関わっています。この心・技・体のつながりについては、【速く走る秘訣】小学生、中学生で必要なトレーニング!心技体を解説!でも触れています。
つまり、親御さんが運動音痴かどうかは、正直あまり関係ありません。それよりも、家庭が「体を動かすのは楽しい」と思える場になっているか。そちらのほうが、ずっと影響が大きいと感じています。
家庭で今日からできる「運動経験を増やす」関わり方

とはいえ、「専門的な練習をさせなきゃ」と気負う必要はありません。ポイントは、特別なことより経験の種類を増やすことです。
私が保護者の方におすすめしているのは、次のような小さな工夫です。
- いつもの遊びに「違う動き」を1つ足す:ボール遊びにケンケンを混ぜる、走るのが好きな子には後ろ向き歩きを試す
- 勝ち負けより「できた!」に注目する:タイムや順位ではなく、「最後まで走り切ったね」と過程をほめる
- 親も一緒に体を動かす:うまくやって見せる必要はありません。楽しそうにしている姿がいちばんの教材です
走る動きそのものを伸ばしたいときは、【小学生・中学生向け】足が速くなる仕組みとは?基礎知識3選を徹底解説も参考にしてみてください。ただ、いきなりフォームから入るより、まずは「体を動かすのは楽しい」という土台づくりが先です。
こうした関わりを続けることで、運動を好きになり、結果として動きが伸びやすくなる子は少なくありません。効果には個人差がありますが、遊びの機会を増やして損をすることは、まずないはずです。
まとめ:遺伝を心配するより、遊びの機会を1つ増やそう
運動神経には、遺伝の影響も、環境や経験の影響もあります。どちらか一方で決まるものではありません。
そして、親御さんが変えてあげられるのは「環境」のほうです。親が運動音痴でも、子どもの運動が伸びる例はいくらでもあります。だから、どうか自分を責めないでください。
心配な気持ちを一つ手放して、今日、いつもの遊びに「違う動き」を1つ足してみる。その小さな一歩が、お子さんの体の引き出しを、確実に増やしていきます。
