子どもが練習を嫌がる・続かないとき|コーチが親御さんに伝えている3つのこと
こんにちは、ぷでぃまです!
「明日から毎日走る!」。昨日はあんなに張り切っていたのに、今日はもうソファから動かない。声をかければ「あとで」。3日目には、練習の「れ」の字も出てこない。
道具もそろえた。声のかけ方も気をつけている。なのに、そもそもやってくれない。この壁にぶつかっている方は、たぶんとても多いです。
結論からお伝えします。練習が続かないのは、子どものやる気の問題ではありません。ほとんどの場合、続く設計になっていないだけです。設計が悪いだけなら、直せます。子どもの性格を変える必要は、まったくありません。
この記事では、私が保護者の方に実際に伝えている3つのことをお話しします。そして最後に、いちばん言いにくいことも書きます。やめてもいい、という話です。
「毎日やろう」と決めた時点で、だいたい続かない

いちばん多いつまずきが、スタート地点にあります。始めた日のやる気が高すぎるんです。
「毎日やろう」と決めた練習は、指導現場でよく見るケースとして、1週間ももたないことがほとんどです。理由は単純で、毎日には「できなかった日」が必ず来るから。習い事の日、宿題が多い日、雨の日、なんとなく気分が乗らない日。1日抜けた瞬間に、記録は途切れます。そして子どもは「もう続いてないし」と全部を手放してしまう。
つまり毎日という設定は、失敗するタイミングを自分から仕込んでいるようなものなんです。
だから私は、まず頻度を下げる勇気を持ってほしいとお伝えしています。週2回。それで十分です。火曜と土曜、みたいに曜日で決めてしまう。物足りなく感じますよね。でも週2回を3か月続けた子は、24回動いたことになります。毎日と決めて4日でやめた子より、はるかに多い。
もの足りないくらいで終わるほうが、子どもは「またやりたい」と言います。満腹まで食べたら、次の食事が楽しみにならないのと同じです。
この「休む日も計画のうち」という考え方は、小中学生のトレーニング計画の立て方|成長期に合った運動強度の決め方でも詳しくお話ししています。計画というと窮屈に聞こえますが、実際は逆で、やらない日を先に決めておくための道具です。
上達を目標にすると折れる。「やった回数」を目標にする

次は、何を目標にするかの話です。
「速くなろう」を目標にすると、たいていの子は折れます。当たり前で、速くなったかどうかは今日は分からないからです。1か月がんばっても、タイムが縮まる保証はありません。がんばりが返ってこない日が続けば、大人でも心が折れます。
かわりに数えてほしいのが、やった回数そのものです。速くなったかではなく、動いたかどうか。これなら100%、その日のうちに答えが出ます。しかも自分でコントロールできる。
やり方は拍子抜けするほど簡単です。カレンダーを壁に貼って、練習した日に○をつける。それだけ。シールでもハンコでも構いません。子どもが自分の手でつけるのが大事なところです。
コツが2つあります。ひとつは、置き場所を目につくところにすること。冷蔵庫の扉や、玄関のドアの内側。引き出しにしまったノートは、まず開かれません。もうひとつは、5分でも○をつけていいことにする。「ちゃんとやった日だけ」と条件をつけると、○のハードルが上がって、結局つかなくなります。
「そんなに甘くていいの?」と思いますよね。いいんです。ここで数えているのは練習の質ではなく、続いているという事実のほうだからです。質は、続いた先でしか上がりません。
私も最初は失敗しました。回数のノルマを決めて「今日は10本ね」とやった結果、子どもは道具に近づかなくなりました。同じ「数える」でも、ノルマとして課すのと、やった証として残すのは、まったく別物なんです。
○が10個並ぶと、子どもは自分から数え始めます。「あと2個で20個」と言い出したら、もう親の出番はほとんどありません。続けることそのものが、ゲームになっているからです。
親が「見る人」になると、子どもは「やらされる人」になる

これは、私自身が長いこと気づけなかったことです。
親御さんが練習を見てあげている。とても熱心で、ありがたい姿です。でも子どもの側から見ると、その構図はこうなります。やる人と、チェックする人。試験官と受験者、と言ってもいいかもしれません。
その場に立たされた子が「楽しい」と感じるのは、なかなか難しい。うまくできたかを毎回採点される時間を、自分から進んでやりたがる子は少ないですよね。
解決策はひとつだけで、親が「やる側」に入ることです。となりで一緒に跳ぶ。一緒に走る。それだけで、練習は測定の時間から、2人でやる遊びに変わります。
「運動が苦手だから見せられない」と思った方、安心してください。むしろ下手なほうが場は盛り上がります。お父さんが先に息を切らしている。子どもにとって、それ以上に楽しい光景はありません。この「やって見せて真似させる」という関わり方は、子どもへの走り方の教え方|言葉のかけ方で伝わり方が変わりますの中でも触れています。上手な見本より、真似する回数のほうが効いてきます。
毎回つき合うのは無理、という声もよく分かります。だったら最初の5分だけ一緒にやって、あとは自由に、でも十分です。始まりを2人でつくれば、その日の空気は変わります。
それでも嫌がるときは、やめていい

ここまで3つ書いてきましたが、いちばん伝えたいのはここです。
いろいろ工夫しても、子どもが嫌がるときはあります。そういうとき、私はやめていいとお伝えしています。テクニックが足りなかったわけでも、親の関わり方が悪かったわけでもありません。
理由は単純で、今はその時期じゃないだけ、ということが本当によくあるからです。子どもの興味には波があります。半年前まで見向きもしなかったものに、ある日突然、火がつく。逆に、あれだけ好きだったものを、ぱたっとやめる。現場で16年見てきて、これはもう天気みたいなものだと思っています。コントロールしようとするだけ、こちらが疲れます。
そして、いちばん怖いのは無理に続けさせることです。嫌がる子に続けさせて残るのは、上達ではなく「走るのは嫌なこと」という記憶のほうです。運動が伸びやすい時期は9〜12歳頃だとよく言われますが、その考え方は【子どもの成長】ゴールデンエイジを最適に過ごすためのトレーニングガイド!考え方解説にまとめています。読むと焦るかもしれません。でも、この時期に「体を動かすのは嫌だ」と覚えてしまうほうが、ずっと大きな損失です。半年練習しなかったことより、そちらのほうが長く残ります。
やめるといっても、運動そのものをやめる必要はありません。練習をやめて、公園に遊びに行けばいい。虫を追いかけて走り回るのも、りっぱに走っています。フォームを気にせず全力で走る時間は、練習より価値があることさえあります。
やめ方にも、少しだけコツがあります。「もうやめなさい」ではなく、「今はお休みにしようか」と言ってあげてください。同じやめるでも、前者は終わりで、後者は続きがある。子どもは、その差をちゃんと聞き分けます。道具も片づけずに、玄関に置いたままでいい。目に入る場所にあるものは、ある日ふっと手に取られます。
私の経験でも、半年やめていた子が「またやる」と言って戻ってきたことは、何度もあります。戻ってきた子は、たいてい前より楽しそうです。休んでいる間に、嫌いにならずに済んだからだと思っています。
続かなかった過去がある方へ。それは失敗ではなく、時期が合わなかっただけです。合う時期が来たとき、道具はまだ玄関にあります。それで十分だと、私は思っています。
まとめ:今日は「週2回」に決め直すところから
練習が続かないとき、足りないのは子どものやる気ではありません。たいていは、続く設計になっていないだけです。
頻度を下げる。上達ではなく回数を数える。親が一緒にやる。この3つで、続きやすくなる子は多いです。効果には個人差がありますし、それでも続かない日は来ます。そのときは、やめてください。休んでいる間に嫌いにならなければ、それが最良の結果です。
今日できることを1つだけ挙げるなら、練習の日を週2回に決め直すことです。カレンダーを開いて、曜日に印をつけるだけ。「毎日」を手放すのは勇気がいりますが、その勇気が、いちばん続く形をつくってくれます。
